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Mobycy代表 Akash Guptaがインドにシェアサイクルを仕掛けた理由 

Kayo Osumi
Kayo Osumi
2018/2/1

皆さんこんにちは。大角佳代です。

 

今回は2018年1月よりデリー・グルガオンでスタートしたMobycyのAkash Guptaさんにインタビューを実施しました。

 

以前、India Insightの記事でも取り上げましたが、インド都市部において初のシェアサイクル事業「Mobycy」が立ち上がりました。

 

都市部に自転車シェアサイクル登場 変革していくインドの交通事情

 

今回のニュースを知った時、インドでシェアサイクルの勝算はあるのか?とインド在住日本人の中で話題に。

そこで、直接創立者のAkash Guptaさんにインドのシェアサイクル事情についてお話を伺いました。

 

オフィスの様子

Web上では住所が公開されていなかったのですが、直接尋ねたところ、教えてもらったのはとあるショッピングモールでした。この一角にオフィスを構えているようです。

 

指示されたとおりに指定されたフロアに行くと、隅の奥の方にMobycyの看板を見つけることができました。

 

実はタクシーの渋滞により予定していた時刻より1時間も遅れて到着。事前に連絡はいれていたものの、すごく申し訳ない気持ちでそっとオフィスの中に入っていきました。

そこには、いつもインドのWebメディアで見ていたAkash Guptaさんがいました。

 

Akash:Kayoさん、気にしないで気にしないで。今日は来てくれて、どうもありがとう!

さっそくオフィスの方を案内していただくと、奥の方ではエンジニアやマーケティング担当のスタッフが作業をしていました。

現在はエンジニア・オペレーションを中心とした22名のメンバーで構成されています。

 

私自身、初のインド人インタビューになるのですが、Akashさんに、新サービスMobycyについていろいろ質問をしてみました。

 

 

Akash GuptaさんがMobycyを始めた理由

 

OsumiAkashさん、今日はお忙しいところお時間いただき、本当にありがとうございます。今日は新しくスタートしたMobycyのお話についてお伺いしたいです。

ちなみに「Mobycy」ってなんて読むんでしょうか。

 

Akash:Hi, Osumiさん、今日はこちらこそありがとう。Mobycyは「モバイシー」って読むんだよ。「Mobile」と「Cycle」の造語なんだ。

 

Osumi:Akashさんは、もともとMobikwikのVice Presidentをされていたんですよね。

 

Akash:そうです。その前はSnapdeal(Eコマースサイト)Airtel(インド最大手 通信会社)に所属していました。Airtelでは4G回線のサービス立ち上げのときで(2013年1月から2014年11月頃)サービス普及のために、マーケティングやセールスなど、総合的に関わっていました。

Mobikwikに所属しているときに、なにかビジネスチャンスはないかなと機会を探っていました。そんなときに、大学生と話す機会があり、彼らが通学の際の不便さを話していたんです。そこでシェアサイクルの必要性を感じました。

Mobycyが立ち上がるまでは、インドで主要なドックレス型のシェアサイクルサービスはありません。僕達のサービスが初の試みとなります。

Mobycyのアプリは簡単にスマホからダンロードできます。アプリを開くと、今自分の周りにあるMobycyの自転車をひと目で確認できます。

 

自転車はロックがかかっていますが、自転車にあるバーコードをスマホから読み取り、ロックを解除することが出来ます。

アプリで走行距離や消費カロリーもデータとして確認することができます。キャッシュの支払いの手間もありません。アプリに電子マネーや銀行口座を紐付けることができるからです。

サービススタートから4週間程度で、4都市(デリー、ファリーダーバード、グルガオン、ノイダ)におけるアプリの合計ダウンロード数は11,000になります。

現在5000台準備されているアプリケーションとGPSに紐付けられた自転車は、次の6ヶ月で主要なメトロの駅と大学での設置を増やし、50,000台にまで増やすことを目標としています。

 

 

Osumi:その数字は当初期待していたものより大きいのでしょうか。

 

 

Akash:この数字はとてもいい数字だと思っています。なぜなら、インドではもともと人は自転車に乗らないんです。自転車の利用というのは「貧乏な人が乗るイメージ」というのがインドでは強いのです。ですが僕たちは、Mobycyのサービスを利用する人がいるということを確認できました。

Osumiさん、ぜひグルガオンの主要メトロ駅に行ってみてください。僕達の自転車がたくさん並んでいます。毎朝、人々がメトロから自転車の利用を開始します。

 

 

Osumi:好調な出だしですね。

ですが、インドでシェアサイクルが流行らない理由はたくさんあると思います。例えばデリーでは、4月くらいからとても暑いですよね。夏もとても長いです。この期間の利用に関してはどのように考えているのでしょうか。

 

 

Akash:デリーに関しては、やはり日中の利用数は見込めないため、朝と夜の利用、特に通勤・通学時に最も利用してもらいやすいように自転車の配置を検討します。下車したメトロ駅から会社までのちょっとした距離とか。日常の生活で使う場面は必ずあります。

また、プネやバンガロールなど、気候が安定し利用者が多く見込める都市も広めていきます。

 

 

Osumi:インドの交通状況は、あまり自転車を乗る人にとってフレンドリーとは言えないですよね。スピードは速いですし、細かいルールもないので、自転車を乗るには危険かなと思います。

 

Cycling In India: Is It Worth The Risk?

こちらの記事では、運転する人が自転車への配慮が欠けていたり、サイクリングロードの未整備、交通ルールへの意識の無さなど、インドで自転車を乗るには危険が多いことが指摘されている

 

Akash:インドの交通状況も複雑ですが、インドにはいろんな考えの人がいるので、その中でもうまく自転車を利用する人はいます。

そして、いま政府が積極的にサイクリングロードの整備に投資をしています。多くの都市部で道路が整備されています。ここが整えば、さらに自転車の利用者は増えてくると考えています。

 

 

Osumi:現在、インド以外の国、例えば中国やアメリカでも、シェアサイクルのビジネスは拡大してきていますよね。その様子を見て、インドではこのタイミングが一番ベストであると判断されたのでしょうか。

 

 

Akash:まさにその通りです。そこには4つほどの理由があります。

1つ目は、インド人がアプリの利用に慣れてきて、皆が気軽にアプリを使ってくれるようになってきたからです。僕達のサービスはアプリをダウンロードしてくれないと始まりません。

 

2つ目は、電子決済も普及してきた点です。僕達のサービスは電子マネーでの支払いを取り入れていますから、これもユーザー側が使い慣れてきていることが非常に重要です。

 

3つ目は、皆が大気汚染を深刻な問題と捉えはじめているからです。インドは深刻な大気汚染を抱えていますが、皆これをどうにかしたいと思っています。Mobycyは解決策の一つになりえます。

 

最後の理由は、人々の健康意識も高まってきているからです。インドは生活において、運動する機会がすごく少ないんです。人々は自分たちの生活に「運動」を取り入れたいと思っています。自転車の利用は、その悩みを解決します。デリーにおいては夏になるまでに、人々が生活の一部として自転車の利用を確立してくれれば、その後は習慣化されるのではないかと考えています。

 

以上の4つの理由から、インドでシェアサイクルビジネスをスタートさせるにはいまのタイミングがベストだと判断しています。

 

 

地元紙でもインドシェアサイクルの動向は注目を浴びている

 

Osumi:他のエリアでも、幾つかのシェアサイクルビジネスがスタートしていますよね。例えばYuluとか、ZoomCarとかです。それらのビジネスとの違いはありますか。

 

 

Akash:もちろん知っています。でも彼らはまだエリアを特定し限定的にビジネスをスタートしており、僕達のように都市部で展開はしていません。都市部での展開は僕達が初めてです。

 

 

Osumi:マネタイズはどのように検討されていますか。

 

 

Akash:マネタイズはデポジット、自転車の利用料、そして広告です。現時点では1つ広告提供企業が決まっています。他にも、フィットネスや生活用品の企業、学校関連が広告にとても興味を持ってくれています。

 

 

Osumi:Akashさんは以前インタビューで、2020年までに10億ドルの市場になると言っていましたが、どうしてそのように考えられているのですか。

 

 

Akash:中国を見てみてください。2年前、シェアサイクルはありませんでした。でもいま中国には1000万台のシェアサイクルがあります。2大企業シェアサイクル企業OfoとMobikeが大きなインパクトを中国市場に与えています。

インドは中国と似たような問題を持っていますし、人口や市場の規模も似ています。いま30都市に僕達のサービスを仕掛ける計画をたてています。政府もサイクリングロードへの投資をスタートしており、追い風です。僕はインドでも同様にシェアサイクルが流行ると確信しています。

 

 

Osumi:スタートしてまだ1ヶ月ですが、今の時点で何か困ったことはありますか。

 

 

Akash:今のところは、思った以上に事業の可能性を感じているので、更に投資家の人に投資してほしいです。自転車の数を増やして、更に利便性を高め、ユーザーの方にMobycyを利用してほしいです。

*2017年末にはアメリカの投資家から50万ドルの資金を調達している。

 

 

Osumi:Akashさん、本日はどうもありがとうございました。ぜひ今後の様子も伺わせてください。

 

 

一緒に記念撮影をしました。

 

 

編集後記:

Akashさんはとても気さくな若手起業家。帰り際、Mobycyのオリジナルキーホルダーをお土産でくれました。

インドではまさにいま、都市部を中心にさまざまなサービスが展開されていますが、シェアサイクリングに関してはこれから。試験的な取り組みは各地でされているものの、都市部での仕掛けはMobycyが初。メトロやタクシーなど、ここ数年で一気に利便性を増してきましたが、自転車も同様に浸透するのでしょうか。

既存のイメージなど障壁もあると思いますが、人口も多い分、ターゲット層の利用者数をしっかり掴めば大きくなっていく予感もします。難しい要因はまだ他にも生まれるかもしれませんが、引き続き動向を追っていきたいと思います。

 

http://www.mobycy.com/