製造業

インド政府の強いリーダーシップ推進、Make in India!

インド 田舎の農家で高級家電が売れている理由

桝谷 長男
桝谷 長男
2018/2/6

・農村地域での家電製品の売れ行き好調は消費者金融会社とのメーカーがタイアップの影響
・消費者金融会社にとって、農村地域はいまだ未開拓でありラスト1マイルへの体制構築が重要も時間とコストがかかる消耗戦になるが、勝ち組には大きなリターンも。
・課題は信用情報網が整っていない農村地域の個々人の信用力をどう審査し貸倒れリスクを最小化するか

インドの農村で変化が起きている。マハラシュトラナシック市近郊の農村のサトヤン・スルヤバンシ氏は小さな電器店を営んでいるが、最近、家電製品の売り行きが好調でほくほく顔だ。

2年前の高額紙幣廃止や昨年7月のGST導入後の混乱にも関わらず、スルヤバンシ氏いわく、この半年間で売上は2割ほど成長しており、冷蔵庫、液晶テレビ、エアコン、電子レンジなどあらゆる分野の耐久消費財が売れているとのこと。

彼の電器店はナシック市周辺の15ほどのそれぞれが500人から1,000人規模の農村へ展開している。確かに昨年のモンスーンは良好で農家の収入に好影響を与えたが、スルヤバンシ氏はここ最近の売れ行きの好調を次のように見ている。「バジャジファイナンスなどの消費者金融が今積極的に0金利などを唄い、農村地域に積極的に貸し出しを行っていることだ」

 

スルヤバンシ氏の友人である、ガイクワド氏は昨年初めてのローンを組みLEDテレビを8% の金利で購入したが、今年に入って、スルヤバンシ氏の電器店からバジャジファイナンスから0%の金利でインドメーカーのゴドレジの冷蔵庫を購入した。ゴドレジはインドでは有力ブランドの一つであり通常は農村の人々には買えるレベルではなく、名も知られていない企業製のものが農村では一般的である。

(筆者注:海外ブランドに比べれば、ゴドレジなどインド有力メーカーは割安ではある)

しかし、最近では農村でも有力メーカー製のものが出回るようになったのはなぜか。それは、消費者金融会社が有力ブランドメーカーとタイアップしてプロ―モーションをしているところにある。

 

今、消費者金融会社は新しい成長市場として農村市場に注目している。バジャジファイナンスでは、現在は貸出残高の約13%が農村地域の貸し出しとなっている。その貸出残高が昨年比で37%も増加しており、このままの勢いがつづけば今後5年間で180億円(1,000croreルピー)の利益を生み出す市場となるとCEOのラジブ氏は語っている。

 

インドの有力家電メーカーのゴドレジ社は消費者金融会社とのタイアップに注力して、農村地域での売上を伸ばすことを加速させている。都市部では耐久諸費財の購入に占めるローンは約6割だが、農村ではまだ1割にも満たず、ここを都市部のレベルにまで接近させていくことが高成長の早道であるとの見立てによるものだ。

ゴドレジによれば農村地域での耐久消費財市場規模は1兆1183億円(62,130croreルピー)にものぼるという。また、消費者金融会社のHDB(HDFC銀行の子会社)社では昨年のディワリのローンの農村地域での割合が3割を超えたと発表している。

 

しかし一方で大きな課題もある。農村地域での借り手の信用評価をどうするかということである。Aadharが審査の一つの柱ではあるが、まだまだ不十分であると、マヒンドラファイナンスの社長のラメシュ・ルイヤー氏は話している。耐久消費財向けローンはどれだけの規模を獲得できるかのボリュームゲームであり、自動車などに比べて毎月返済などの仕組みはコスト的に割に合わず必然的に量を追うことになる。

 

農村地域への銀行サービス・保険・耐久消費財などの普及を推進する団体のトップであるサンジェイ・ナンドラジョグ氏によれば、「農村には確かに大きなチャンスがある。そしてまだ大半の企業が最後の1マイルである農村へは手が届いていない状況であり、このラスト1マイルをつかむためには時間と投資をかける必要があるが、それが花開くにはまだまだ時間がかかるだろう」と話している。ただ、バジャジファイナンスはここ直近の四半期で86%の成長を遂げるなど農村市場は消費金融会社にとっては「ダイヤモンド」のような魅力的な市場であることは間違いない。